⒈産業医が配属されている企業とは

仕事をしていると産業医という言葉を聞くことがあります。

産業医とは事業場で労働者が健康で快適に仕事ができるように、専門的な立場から指導を行う医師のことを指しており、通常の健康管理や治療といったことの他に、様々な知識を要し、働く人の心の問題なども予防する任務が与えられています。

産業医になるには条件があり、平成8年に改正された労働安全衛生法によって、必要な医学に関する知識において、厚生労働省令で定める一定の要件を備えた人でないといけない、という規定がされました。

この一定の要件は大変厳しく、厚生労働大臣が定める産業医研修の修了者であり、なおかつ労働衛生コンサルタント試験に合格をしなくてはなりません。

または大学において労働衛生を担当する教授や准教授、常勤講師の職にいるもの、またはその職についていた人が該当します。

大学も存在しており、産業医科大学などで厚生労働大臣が指定する過程を修了して卒業をしたものも該当しており、あらかじめこういった職業につくということを意識していないといけません。

こういった労働者に身近になる医師はすべての企業に配属されるのではなく、常時50人以上の労働者がいる企業となります。

すべての業種において50人未満であると選任する義務はなく、罪に罰せられることはありませんが、50人以上いる企業ではきちんと選任をし、所轄している労働基準監督署長に届ける義務があります。

産業医の有資格者は9万人ほどいますが、50人以上の事業場も16万をこえており、選任率は87%程度にとどまっています。

(参考)産業医紹介

 

⒉産業医の仕事内容

実際の仕事内容としては、従業員の健康障害の予防と心身の健康を保持すること、さらにその状態を増進することがあげられます。

大きく健康管理と作業環境管理、作業管理の3つにわけられており、健康管理は健康診断を実施し、その結果を受けて改善しなくてはならない人に生活指導や治療を行う、配置転換を会社に進める、疾病や防疫といった管理療養の指導を行っていきます。

作業環境管理は企業側と密接に話し合うことが必要であり、有害環境を排除して快適な作業環境になっているのか、作業場の明るさは保たれているのか、換気や騒音、気温などは適しているかなどを見ます。

作業管理は作業環境管理と似ていますが、作業に伴って有害な化学物質に暴露しないか、振動や騒音などによって職業病が発病していないかを管理していきます。

医師としての役割の他に、健康の課題を誰よりも早く見つけてその課題に対して改善する戦略を立て、さらにその戦略を会社に実行させていくマネジメント力が必要となるので、医師だけの知識だけでは行えない職業となっています。

近年では高齢になっても働いている人が増えており、事業所によっては高齢化が進んでいる、メンタル的に悩みを抱えている人が多い状況にあります。

労働時間に関しては企業が率先して正していく必要がありますが、過重労働だけでなく、人間関係においても悩む人は多いので適切な時期にきちんとサポートをし、具体的な管理を行っていかなくてはなりません。

パワハラやセクハラなどによって、精神的にも身体的にも苦痛が生じている場合は、さりげなく企業にその事実を伝え、改善していくようアドバイスを行います。

直接企業側に言えないことも医師を通じて必要最小限の情報を伝えてもらうことができるので、職場の雰囲気改善につながるケースが多いです。

 

⒊労働者側も企業側もうれしい制度が導入

2015年にはストレスチェック制度が導入され、ストレスがどの程度あるのかが数値によってある程度わかるようになりました。

このストレスチェックは常時50人以上の労働者がいる事業場に1年以内ごとに1回実施をしなくてはなりません。

ストレスチェックを受けて的確な診断を行い、高ストレスの人を選定し、面接指導の要否を判断する仕事もあるので、ストレスによる体調の変化をあらゆる面から見つけることも必要となります。

企業側とのやりとりとして意見を述べる役割もあり、職場環境の改善提案を積極的に行い、労働者に対しては教育も行います。

仕事をしていると自分のことはなかなか考えられない人も多く、見過ごしてしまうケースも多いため過労死などを防ぐためにも、労働者への意識を高めていかなくてはなりません。

大人に説明をするので、説明の仕方にも気を配る必要があり、いかに自己管理させるかが大切になってくるので、話し方や伝え方の工夫なども身に着けておくことが大切です。

職場の環境が良いと、健康を害する人やメンタルが弱くなってしまう人が少なくなり、さらにはハラスメントなども起きにくくなる傾向があります。

結果的に企業にとってもプラスイメージとなるので、ホワイト企業として知られるようになり、仕事も円滑に進んでいきます。

近年は健康が大変重要視されているので、様々なことに目を配れる企業内の医師は大変大切な存在になっています。

相談しやすい雰囲気をしっかりと作ることも求められています。